スイムEKIDENが水泳界にとって大変頼もしい存在だと思う理由。「月刊SWIM 2月号」"被"取材後記。

「見る競技スポーツ」と「参加型スポーツイベント」。
両面において主催者的立場からやれることはたくさんあると感じた出来事。


・「見る競技スポーツ」
先日、国内初開催となる競泳のワールドカップを観戦。
試合後、月刊SWIMの田坂さんとお友達Kさんの3人で月島へ。
ラグビー、アメフト、バスケ、様々なスポーツ観戦経験の豊富なKさん。競泳は初観戦。
「観戦席でお酒飲めないの?」
「試合中、こんなに静かなの?」。
当たり前だと思っていたことに、疑問をぶつけられ、ハッとさせられた。


・「参加型スポーツイベント」
今回の月刊SWIMの取材の際、幸村編集長からスイムEKIDENの出生秘話を伺う。
「マスターズ登録はアナログな上、2人以上からの登録によってハードルを上げているのが現状」
「水泳イベントはもっともっと面白くできる」
現状に対する問題意識がスイムEKIDENを生み出した。





取材にて普段の練習環境についての話。上原中学校で泳いでいる話をさせて頂く。
「あんなところにそんなプールがあるんですね!?」驚かれる。
以前、職場の後輩にお願いして某都立高校で泳がせてもらった時にも感じたこと。
綺麗なプールなのに、誰もいない。部活の合間に使う人はいない。
使いたい人はいるのに、使われていない現状。情報の流通量不足。


見るスポーツも、するスポーツも、情報はインターネットを中心に得られていると感じる。
マスターズのアナログ登録がいまや"ハードル"として見られている。
ランニングイベントはwebエントリーを通じて1日で締め切られることも少なくない。
体を動かすという原始的な行為とインターネットという文明の利器。
一見相反する文化を融合せずにはいられないところまできている。




ジャケ買いをする人の気持ちが初めて分かった。Mr.children「SENSE」。
森本千絵さんが手がけられたそうだ。
以前、知人のお誘いで森本さんの出版記念パーティーに連れて行って頂いたことがある。
「うたう作品集」という本にちなんでパーティーなのに、その場で歌をつくってしまう。
歌詞がその場でつくられる。会場全体がPV撮影現場になる。振付けされる。ウェーブが起きる。
ものすごいパワーとセンス!一体感に包まれる。みんな幸せそうだった。


そんな森本さんが「千絵の部屋」と題して定期的にUstreamを放送している。
先日は倉本美津留さんが登場し、「動物園をつくりたい」という話で盛り上がる。
面白いアイディアがでるでる。
まだ出来てもいない動物園を勝手に想像したら、無性に行きたくなった。
小林武史さんの話題になる。どうやら毎日プールに通われているらしい。
森本さんもサーフィンにはまっている。もし彼らがスポーツイベントをしたら、どうなるんだろう。
「もし、小林武史さんが水泳イベントを開催したら。」。
小林さんはapbankで農業に力を入れ、木更津に足を踏み入れている。勝手に近い気がしてしまう。
つぶやきが現実化することを勝手に夢見ておく。




イベント性、情報量、参加ハードル、コミュニティの身近さ。
それを担う媒体、主催者、連盟。


以前、為末大さんが「スポーツ界は重い。たかがスポーツと思え。」と仰っていた。
個人的には「重さ」と団体間の連携不足には因果関係があるとは思っていない。
他団体と連携が取れないことなんて政治、経済、どんな世界でも当たり前。
連携が取れないことをダメな理由にしていては前に進めない。


企業やクリエイターさん達にあって、スポーツ界にないもの。
「どう見られているか」「どう見てもらいたいか」「何を欲しているのか」「何に困っているのか」という受け手目線の意識。
一部の天才は別として、営業マンやクリエイターなら当たり前に持っている感覚。
どうもこの世界には薄い気がしている。
プロダクトアウトは競技者が体であらわしてくれる。
本気からしか生まれない、誰もが美しいと感じるフォーム。筋書きのないドラマ。
その分、周りの人たちがマーケットインの考えを持つことで全体のバランスを取るべき。


スポーツにイレ込んでもいいじゃないか。
本気になれるって素晴らしい。本気だから美しい。
でも相手のことも考えよう。同時にできる。
一人ですべてやれないのなら、得意なことを分担してやればいい。
使いやすい、分かりやすい、参加したい、楽しそう、、、やって良かった!
そう思ってもらえるように。


今までのマスターズ競技会に未来を求めるのはアキラメル。
ゼロから新しい潮流を作り出し、大きくしていく。
持続的イノベーションではなく、破壊的イノベーション


じゃあ自分で小さな大会を主催して変えていけるのか?
個人のブログ発信が強い影響を与えていけるのか?
間違いではないが旧来のメディアの力の大きさを侮ってはいけない。


あんなに面白かった「千絵の部屋」。
12月のあたまに街中の看板をクジラで染めた森本千絵さんですら視聴者は500人。
視聴率は0.000005%?。池田信夫氏も言う、旧メディアは死なない。


90年代にインターネットが出てきたときも「テレビは終わりだ」といわれたが、
いまだに日本人のテレビ視聴時間は1日3時間30分で、10年以上ほとんど変わらない。


雑誌という強力な媒体を持つアールビーズさんが手がけるスイムEKIDENは水泳界にとって頼もしい存在だ。
この表現はまったく大袈裟じゃない。幸村編集長とのお話を通じて、それを確信した。


今までのマスターズ競技会にはないマーケットイン思考。
そしてメディアによる伝える力。
何よりもアールビーズさんには実績がある。ランナーズによってランニングの認識が劇的に変わった。
メディアを通じて、イベント主催を通じて、実現された功績は非常に大きい。
ランニングブームの真の火付け役だと思う。


良いものを良いと伝えたい。
もっともっとやれることはある。伝え方はある。


「水泳、やりたいんですけど機会が無いんですよね。」


最近言われる言葉。嬉しいと同時に非力さを感じる。
この言葉を減らす方法は無数にあると思う。
思うだけじゃなく、「動く」。そして来年は「動く」年になりそう。
わくわくする。


来年のスイムEKIDENは3月21日、辰巳にて。
エントリーしようっと。



■スイムEKIDEN1000in辰己 2011年3月21日(月・祝)
http://swimnet.jp/race/ekiden/tokyo2011/index.php