「早稲田大学−カリフォルニア大学バークレー校共催 スポーツマネジメントセミナー」出席



日本スポーツマネジメント学会が主催するセミナーに出席。


日本のスポーツマネジメントの歴史の浅さを痛感。同時に伸びしろを感じる良い機会であった。
セミナーは大きく3つのパートに分かれていたが(下記参照)、
今回特に参考になった、早稲田大学原田氏とジャック坂崎氏の対談内容を下記にまとめてみた。
ほかの講演内容も時間があれば随時アップ予定。



「対談『日本のスポーツビジネス解体と再構築』ジャック坂崎氏×原田宗彦氏」まとめ

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●ジャック坂崎氏のスポーツイベントに対する考え方・スポーツイベントを敢行するかどうかは直感で決める。当然ながら、市場の情報という直感に
 対する裏づけは必須。
・スポーツイベント実施時のリスクテイキングの考え方「予想の半分の売上げで黒字が見込めること。」


●日米のスポーツマーケットの「格差」
・日本のスポーツマーケットはカリフォルニア州くらいの規模に過ぎない。
・日本のスポーツ産業の遅れの要因はエゴ。主要競技のマネジメントが親会社からの天下りであり、
 真のスポンサーシップを知らない人が経営。
・MLBの平均年収は300万ドル。完全にバブルでありリスクが膨れ上がっている状態。
 日本も同様の傾向が見られる。
・日米のプロ意識の差はスターティングポイントの違い。アメリカではプロデビューしても
 最低限の生活フィーももらえない。
・ライフスタイルとしてスポーツがアメリカほどなじまない理由は、?鎖国性の高い文化、
 ?歴史が浅い(15年)、?低ロイヤリティ。
・日米の大学の資金調達の可能性の違いの理由は、?税金免除の仕組み、?大学に対するロイヤリティの
 高さ。


●アジアのスポーツマーケット
・通常、五輪後の開催国のスポーツマネジメントは盛り上がるが、政党の考えもあり中国は難しい。
・韓国野球は?3年でコミッショナーが変わる?外部文化の受け入れ態勢がない、ため変わりにくい組織。


●スポーツマーケティングの今後
・ISLの破綻要因は予算に対するリサーチ不足。W杯放映権料の仕入値と売値の乖離の歯止めが
 利かなかったため。
・日本の地域スポーツの将来性はある。スポンサーよりも先ず住民たちを参加したいと思わせる
 エンタテイメント性と地域密着度。
・MLBの考え方が変わらない限り、野球が再度オリンピック正式種目になることはない。

今回の対談を通じて私が感じたこと。


1.日本のスポーツマネジメントの価値向上には想像以上に時間がかかる。
「税制」「ロイヤリティ」「日本の文化」といった短期的に変わりにくい要素が多分に含まれている。
そのためには政治、教育、企業、といったドラスティックな改革を起こしにくい分野に対する働きかけが必要となる。
その「働きかけ」のきっかけとして、この学会の発足は大いに意味のあるものであると思うし、
彼らがいかにこの分野を牽引できるかが、日本のスポーツマネジメントの価値向上のスピートのカギを握っていると感じた。



2.筑波大学出身者の学会出席者が少ない。
この学会の主役は「早稲田大学」である。
個人的な感情が含まれてしまうが、筑波大学のカラーが少ないことは残念であると感じてしまう。
元教育大学というルーツの問題と、場所柄もあるのだろう。
独立行政法人化後の意識改革に期待したい。


歴史が浅いからこそ、チャンスがある。
私自身がどうジョインしていけるか、このセミナーを通じて得たことをまとめ、
自分のキャリアを改めて考えたいと思う。


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早稲田大学−カリフォルニア大学バークレー校共催 スポーツマネジメントセミナー

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 基調講演「アメリカの大学スポーツにおけるマネジメント最前線」
  Sandy Barbour 氏(UCBアスレチック・ディレクター)

 実践報告「アメリカスポーツにおける資金調達の現状」
  David Rosseli 氏(UCBアシスタント・アスレチック・ディレクター)

 対談「日本のスポーツビジネス解体と再構築」
  ジャック坂崎氏 × 原田宗彦