泉谷しげると宝くじと世界チャンプ


比較的欠かさず見ている「ボクらの時代」(フジ系毎週日曜朝7時)。
今日のメンバーはエレファントカシマシ宮本浩次本上まなみ泉谷しげる


その中で泉谷しげる吉田拓郎らと立ち上げたフォーライフレコードを脱退した理由について話していたことが印象的であった。


「金を持ちすぎた。貧乏な時だからこそ書けた詩が本気で書けなくなった。だから辞めた。」


リクルートフェローで最近まで杉並区和田中学校の校長を務められていた藤原和博さんは著書「『ビミョーな未来』をどう生きるか」で仕事をする理由を、「『この世の中に生きた証』を残すため」と述べている。


泉谷しげるにとっては金を稼ぐことが人生の目的ではなく、いい歌を作り、歌うことが、『この世の中に生きた証』を残す最良の手段になると考えているのではないだろうか。


要は「人生を通じてどうなりたいか」。
どんな状況であっても人生の目的に対して愚直に進んでいくことができるか。
近道はない。


ある情報によると宝くじの1等当選者の大半がその後の生活レベルが落ちたという。
自己の想像以上の富を得てしまうことで起きてしまうトラブルだ。
人生設計上に無い大きな出来事は、外から見ればうらやましい事であっても、時にアクシデントになる好例といえる。


ボクシング世界チャンピオンはその多くが、ベルト奪取後の人生は波乱となり選手生活は短命に終わる。
・「ボクシングの世界チャンピオンになることが夢だ」
・「ボクシングの世界チャンピオンになって具志堅用高の防衛記録を破ることが夢だ」
どちらの夢を持つ選手がチャンピオン後も愚直に練習に打ち込めるか、想像は容易であろう。


大学の講義で聞いた話だが、ある国のスポーツ選手を対象に、「オリンピックで優勝できる、ドーピングにならない、しかし競技後に死に至るような魔法の薬があったら飲みますか?」という質問を行ったところ、半数以上が「Yes」を回答したという。このように「人生の目的=競技の目的」とするスポーツ選手も多いが、スポーツに打ち込んでいた”同志”としては、競技に打ち込む一方で少しでもいいからその先を見て欲しいと思う。「人生の目的=競技の目的+α」のαを考えて欲しいと思う。ただでさえ、レールの無い世の中でそれを全く考えないのはあまりにも無謀である。そしてそのαが時にそのスポーツへの貢献となることもある。


自分は人生を通じて何がしたいか、何ができるのか。


最近、金融恐慌に入ったと言われる。
景気はサイクルである。好況があれば不況もある。不況があるから好況が来る。絶対来るものだ。
今、「すべての経済はバブルに通じる」という本を読んでいるが、原理を理解した上で、「不況は必ず来る」と断言できる。
船井総研コンサルタントの五十棲さんは「バブル崩壊はあくまで正常に戻るプロセス」と表現している。
プラスがマイナスに転じるのではなく、行き過ぎたプラスがゼロに近づく現象ということだ。


そう考えれば不況は怖いものではないし、そもそも予測可能なものであるから、宝くじに比べれば人の人生を一気に狂わせることはない。


この不況への入口を機に自分の足元を見つめ直し、人生設計をじっくり考えたいと強く思う。