任天堂とシリコンバレーとコピーライターと


以前のエントリーでネット専用記事のレベルの低さを取り上げたが、
そのような議論がまったくの無駄であると感じるような、内容の濃いコンテンツに出会ってしまった。


梅田望夫×岩田聡×糸井重里 「適切な大きさの問題さえ生まれれば」
http://www.1101.com/umeda_iwata/index.html


特に梅田望夫氏がオープンソースの世界について、
まつもとゆきひろ氏から聞いた話を話した内容は必見。
以下、本文より引用。


ぼくは、「Ruby」という
オープンソースのプログラムをつくった
まつもとゆきひろさんという人に
オープンソースの秘密」について
うかがったことがあるんですけど、
彼がとても興味深いことを言ってたんです。
どういうことかというと、
彼にはまず、つくりたいものがあるんですね。
誰かのために、というのではなく、
「自分はこういうものがつくりたい」と思って
ひとりでダーッとつくっていく。
そうすると、自然に適切な大きさの
問題が生まれていくというんですね。
たとえば、自分のつくりたいことが、
この机いっぱいくらいの大きさだとすると、
「この机いっぱいの大きさのものをつくる」
と宣言してつくりはじめるんだけど、
人間ひとりのできることには限界があるから、
まあ、一部分だけしかできない、と。
そうすると、あいつが言ってたのに
できてないところがここにあるぞ、とか、
つくったというけど欠陥があるぞ、とか、
毎日毎日動きを続けていると、
適切な大きさの問題が
つぎからつぎに生まれるんだそうです。
で、それさえ生まれれば、
インターネット上にはそれを解決する人が現れる。
新聞にクロスワードパズルが載っていたら
それを解く人がいるように、
それをみんなが解いていくんだと。

昨日お会いした方ともこの話で盛り上がった。


私が出会った彼女は高校生の頃から友人と共同で無料のロールプレイイングゲームを提供している。
それこそ、オンラインゲームなどができる前の話なので、2ちゃんねるでスレが立ったり、
Vectorでダウンロード数1位を獲得したり、さらに今現在も新バージョンがリリースされるほど
定番化している。


当の彼女もゲーム全体の構成をディレクションするほか、
主人公の声を担当したりオープニング曲を歌ったりとフル回転の役割を果たしている。


そんな中、面白い現象が起きたという。


ゲームのリリース後、しばらく経ってからだが、
とある大手レーベル出身の方から主題歌にと楽曲が提供されたり、
とある有名な声優から、自分も声優として参加したいと逆オファーがあったり、
ストーリーに対して、「こうしたほうが面白くなるんじゃないか」とアドヴァイスを頂いたり、
(もちろん、全て見返りなし)
ユーザーから、自然とゲームを良くしていこうという働きかけが溢れてきたという。


この一連の自然の流れは、まつもと氏の言う、


できてないところがここにあるぞ、とか、
つくったというけど欠陥があるぞ、とか、
毎日毎日動きを続けていると、
適切な大きさの問題が
つぎからつぎに生まれるんだそうです。
で、それさえ生まれれば、
インターネット上にはそれを解決する人が現れる。

オープンソースの世界にあるメカニズムそのものであり、
そして、「オープンソース」という概念が生まれる前から、それらと同様の、
人間の本能に基づいた自然の動きが生まれていたのである。



妙にハラオチ。


この、人間が持って生まれた、利己でも利他でもない、
「解決したい」
「ほっとけない」
特性を生かすことが、Web2.0、そしてその先にあるものを
照らしてくれる何かヒントになるような気がしてならない。