「シリコンバレーから将棋を観る」を読みながら競泳界の”オープン化”と”オープンソース的協力”を考えてみる
ようやく手にすることができたものの、時間を理由に読み進めることに時間が掛かっている、
梅田望夫氏の「シリコンバレーから将棋を観る」ではあるが、
私がまごまごとしている間、著者のblogを観ていると、
とんでもない勢いで”オープンソース的協力”により著書の翻訳化が成され、公開されていることに驚かされる。
2009-04-20
■[将棋] 新著「シリコンバレーから将棋を観る」は、何語に翻訳してウェブにアップすることも自由、とします。
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090420
2009-04-29
■[コラム] 「みんなで丸ごと英訳」プロジェクトの発足
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090429
2009-04-30
■[コラム] 英訳プロジェクトに続き、フランス語訳プロジェクトも!
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090430
2009-05-01
■[コラム] オープンソース的協力が成立する要件についての実験と考察
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090501
2009-05-03
■[コラム] 「シリコンバレーから将棋を観る」英訳、仏訳の進捗
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090503
2009-05-05
■[コラム] えっ、連休のあいだに英訳ができちゃったの?!
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090505
2009-05-08
■[コラム] 「シリコンバレーから将棋を観る」英訳版「敲(たた)かれ台」がウェブ上に一般公開されました!
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090508
LinuxやRuby等のオープンソースの発展状況を知っているギークにとってみれば、
当たり前なのかもしれないが、こんなにも、いわばお金にならない、膨大な作業が高速で進んでいく様子は、
”あちら側”を知らない人にとっては驚き以外の何物でもないだろう。
以前のエントリーでもこんなことを書かせて頂いた。
人間が持って生まれた、利己でも利他でもない、
「解決したい」
「ほっとけない」
特性を生かすことが、Web2.0、そしてその先にあるものを
照らしてくれる何かヒントになるような気がしてならない。
(2008-11-26■[ビジネス]任天堂とシリコンバレーとコピーライターと )
http://d.hatena.ne.jp/yamaur/20081126
ウェブは人間の考えていること以上のツールにはならないが、
人間の考えていることや本能を爆発的に増幅させることができるツールだと思う。
梅田氏は「オープンソース的協力の成立要件」について、次の5つを挙げている。
・プロジェクトの中核に、尋常でない情熱が宿っていること。
・そのプロジェクト自身に大きな意義がありそうに思えること。
・プロジェクト・リーダーの私的な利益に供しないこと。
・オープンソース的協力がなければプロジェクト自体が成立しないだろうこと。
・プロジェクトに参加するために必要なスキルがわかりやすいこと。
(2009-05-01■[コラム] オープンソース的協力が成立する要件についての実験と考察)
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090501
前述した本を読んでいただくと分かるが、将棋界では羽生善治氏が”ヴィジョナリー”となり、
「知のオープン化」を率先している。
自身の知識を出し惜しみ無く公開し、一見相反する「勝つこと」とを両立させている。
これらのオープン化に対する動きは、羽生善治という一人のヴィジョナリーにより、
将棋界のみITよりも速くこのような動きが始まった。
そして、このようなオープン化、そしてウェブ上で見られるオープンソース的協力は
他の業界でもいつでも起こりうる可能性を孕む。
個人的には密かにこの動きが競泳界にも起こる気がしてならない。
時期はどれくらいか分からない。当分先になるかもしれない。
例えば、今まで出し惜しみをしていた練習メニューや技術ノウハウが共有される。
様々な選手・コーチの”試行錯誤”が”集合知”となり、日本競泳界の”最適解”を生み出す。
私的な利益に供しないこと、要は「日本代表に選ばれるため」ではなく、
「世界で勝つ」ためという共通認識が芽生えることでこの動きは加速されるのではないだろうか。
そういう意味で、世界の頂点を経験された平井伯昌コーチが日本代表のヘッドコーチに
就任されたことは非常に大きな意味を持つと思う。
実績は当然のことながら、平井コーチのブログを見ていると、
何となく常に新しい試みを考えていらっしゃる方だという気がしてならない。
勝手にワクワクしてくる。
- 作者: 梅田望夫
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