生命保険の歪み、体育会系優遇のウソ、そして龍馬伝はマグレ


ブラックスワン」を読みながら、最近思っていること。


一見、正しいと思えることも統計学的には間違っていたり、矛盾したり、逆だったり、まぐれともいえるものだったりすることが多い。
一見、正しいと思えてしまう原因は、人間に元来備わっている心理的作用だったり、伝達者の感情表現だったり、様々です。
冷静に見つめると、日常のシーンでも大変多いことに気がつきます。


競馬や宝くじはともかく、池田信夫氏のエントリーを引用すると、生命保険の期待値が丸見えです。


生保は、このような錯覚を利用してもうけており、貯蓄としての収益率は手数料を引かれるだけ損になる。
その手数料は、保険料の35〜62%。テラ銭は競馬で25%、宝くじでも50%だが、
生保はそれを上回るマイナスの貯蓄商品なのだ。しかも運用のノウハウもお粗末で、
大部分を低利の国債金利1.4%程度)で運用しているため、
加入者に払い戻す利率(平均3%)と逆鞘になっており、この損失を死亡時の保険金を
保険料より少なく払い戻す「死差益」で埋めている。


生保に限らず、一般的な営業において、このような本質を歪ませることは日常茶飯事です。
資本主義は差異によって利潤を生み出すシステムなので、生きるためには当然の行為だと思います。
肯定も否定もしませんが、その歪みを見極める知は身に着けることが必要だと思います。




面白いエントリーを発見しました。
シンプソンのパラドックスを使いながら、「体育会系優遇」の罠を指摘されています。


■体育会系優遇って何?
http://rionaoki.net/2009/11/1573


非体育会系の学生の方がどちらの職種においても合格率が高いにも関わらず、合計だけ見ると合格率が低いように見える。


実際には矛盾でもなんでもない。単に、体育会系の方が合格率の高い職種を受験しているだけだ。
合格率を受験者数で重み付けして平均を取っているためにこういう現象が起きる。
よく考えればおかしな話だというのは分かるだろう。

先日、知り合いの紹介で「儲かりまっせ」的なお話を頂きました。
試しに参加させて頂いた説明会には集団心理や感情バイアス、
そして成功者のみをクローズアップさせる生存バイアスがふんだんに盛り込まれていました。


冷静に、その企業の財務諸表や伸び率を見れば、還元される利益は明らかなのに、
当の本人たちは何故かそれ以上の利益を永久的に期待していました。本気で。


説明会場には、知っている元スポーツ選手やオリンピック選手もちらほら。


こういった現場を目の当たりにすると、先の体育会系優遇という名の根性系職業の人集めの話にしても、
無知な体育会系出身者たちが、奴隷側に回されてしまう様な、そんな恐れを抱かずにはいられません。




龍馬伝が大好きで、毎週欠かさず見ていますが、ストレートに言うと、この話はまぐれだと思っています。


もし、関所で捕まっていたら、
もし、黒船を見に行って捕まっていたら、
一度でもそのようなミスを犯したら、龍馬伝はありませんでした。


龍馬が亡くなったのは31歳。
仮に毎年1回、龍馬が生存率67%(3分の2)の危機にさらされると仮定すると、


3分の2の31乗 = 287,627分の1


生存率は仮の数字なので、正確なものではありませんが、
坂本龍馬と同じことをして、成功する確率がいかに低かったかが分かると思います。


運によっては「武市半平太伝」になっていたかもしれないわけです。




人が勝手にバイアスを掛ける癖は直りません。
その感情に振り回されず、冷静に、理屈で見極めることが人生最大のリスクヘッジだと思います。