湘南オープンウォータースイミング2010 年代別(19〜39歳)4位 「序盤300mで失速した練習不足のクラゲスイマーが、赤字イベントの湘南owsについて、真剣に考える。スポーツ立国戦略とともに。」

試合前々日。


10kmの部を前日に控えた、ドーバー横断者ガクさんのtweetを見て血の気が引いた。


「今日は100件のクラゲ刺され報告があったそうです」
「最凶エボシ」




試合前日。


10kmの主力選手がゴールした頃に到着。
ガクさんに、「おせーよ!」と怒られる。くらげ情報追加。
脱いだらゴツい、一騎さんを見つけ足の様子を伺う、奥様にもご挨拶。くらげ情報追加。
通称”鵠沼合宿所”のホスト、エイコさんにご挨拶。くらげ情報追加。
ガクさんと共に会場を後にする際、10km最年長スイマーの方にご挨拶させて頂く。くらげ情報追加。




試合当日。


前日のエントリーで仕込んだクラゲ対策クリームを塗りこむ、塗りこむ。
塗りこみながら、周囲の顔をチェック。早稲田の現役国体選手、野崎選手発見。
昨年のヴェルディではスイムのみだったが、勝たせて頂いた。
今回は彼もスイム単体であり、また自分の練習不足を考慮すると、やや劣勢と目論見、ベンチマークすることに決める。


スタート直後は快調、地元の高校生らしき対象外を除いてはほぼ先頭の位置。
やや後方からスタートした野崎選手はまだ上がってこない。


ブイもまだまだ先に見える300m付近、意外にも徐々に腕に疲労が溜まり始める。
野崎選手は後方から上がってきて並走状態に。
練習は嘘をつかない。この1ヶ月で1回しかプールに入っていない体は、心とは裏腹に、素直過ぎるくらいに疲労に反応する。
1kmほど泳ぎ野崎選手のスピードについていけなくなる。
彼が速くなっているのではなく、自分のスピードが落ちていることは全身を抜ける水の感覚で分かる。
野崎選手は遠ざかる。他のスイマーにも抜かされていく。


クラゲ。
レース前々日から意識し始めた、その遊泳力の弱い生物のように、私は腰越漁港沖500mを力無く漂い続ける。
彼らは外部から刺激を受けるとトゲを刺し、対象物に毒を与える。
スポーツマンシップに則り、泳ぎましょうっ!!」
レース直前にレースディレクターからの爽やかなアナウンスによって響き渡った宣言の効果もあり、
背後から迫る後続スイマーに対して、私はトゲも毒も与える気にはならなかった。


野崎選手から遅れること2分。結局20代で4位フィニッシュ。
ここ2年間の中では物理的にも精神的にも肉体的にも一番くらげに近づくことができた、そんなレースでした。





レース後は昨年に続き、”鵠沼合宿所”にて打ち上げ。
「湘南owsは参加費が高いから出ない人が多い。」
そんな言葉を聞きながら、帰りの小田急線でイベントマネジメントという観点から湘南owsについて考えました。


情報量が少ないので確定的な前提条件が出せないのですが、数千万円の赤字が出ていると聞いています。
一昨年から、日本財団、つまり日本船舶振興会からの助成金が無くなったためです。


損益は「売上げ-コスト」の引き算。
よって収益改善のためには売上げを上げるか、コストを下げるか。
分かる範囲でさらに分解していくと。。



≪売上げを上げる≫
・参加者一人当たり単価を上げる
・参加者数を増やす
・その他


≪コストを下げる≫
・人件費を下げる
・コース関連費用を下げる
・その他



こんな感じでしょうか。それぞれを分析していくと、、



≪売上げを上げる≫
参加費が高いことを理由に参加辞退をされている人が多い話を聞いている以上、単価の引き上げは難しいと思います。
適切なプライシングによって全体の参加料収入を上げられる可能性はあると思います。
また、コンテンツのエンタメ性向上や認知度向上によって参加者数を増やす余地はあると思います。


≪コストを下げる≫
毎年ライフセーバーとして参加されていた方からお話を伺う限りでは人件費は非常に少ない。
ほぼボランティアだそうです。しかしながら、弁当代、交通費等まで考えるとコストは人の数に比例して上がります。
コースも10kmのワンウェイコースを借りている以上、漁業組合、コース整備等で通常のレース以上に
コストが高いことが想定されます。どれくらいコストがかかっているかは不明ですが。



そこで提案。「コース変更」!
イベント単体で黒字化を目指すためにも、コース変更をおこなうべきではないでしょうか。
ワンウェイではなく、周回コースにすることでレース範囲をコンパクトにします。
得られる効果は、


≪売上げ面≫
・応援しやすい(周回毎に陸に上がるとなお良い) ⇒ コンテンツの魅力向上


≪コスト面≫
・スタート地点は二つも要らないため、会場設置費用が半減。
・漁業組合、コース整備等に関わる費用が減らせる?
・コースがコンパクトになるため、ライフセーバー等の海上スタッフも少数で運営可能。



箱根駅伝のように沿道で、地元の方々からの有難い応援があり、
選手にとっても区間毎のコース特性があり、それぞれ楽しみを持つことができれば、
ワンウェイである意味は強いと思います。


しかしながら、湘南owsの場合、500m沖を泳ぐ選手たちを応援することは難しい。
選手にとっても、ワンウェイならではのコースの楽しみを感じることは少ない。
それよりも応援をより身近で感じたい気持ちのほうが強い人は多いはず。


私自身が見えていない制約条件等はあるのかもしれませんが、
企業も事業もプロジェクトも、自立が存在の前提条件にあるはずです。
「単体で黒字であること」に強くこだわるべきではないでしょうか。
スポーツに関わるとどうもこの意識が弱くなってしまう気がしています。



先月26日には文科省により「スポーツ立国戦略」が発表されました。


一、スポーツ界の連携を目指す。全国300カ所を目安にして総合型クラブに引退したトップ選手など優れた指導者を配置し、地域スポーツに人材の好循環を図る


池田信夫氏の、「経済が成長しない限り雇用は増えない」という言葉はスポーツ界においても例外ではなく、
スポーツに関わる産業(に従事する人たち)が自立を強烈に意識し、経済活動をおこない自立し、
雇用を「自作」することがスポーツ界の現状課題であり、スポーツ立国戦略の本質ではないでしょうか。


菅首相「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と叫んでいます。


スポーツ界従事者の意識改革。特に地域スポーツ。
伸びしろは大きいと感じています。


そのためにできることを考え、見つけ、一歩一歩進めていければと思います。